2013年3月アーカイブ

 山梨青年工業会の歳時記は、「3月例会」の活動を持って季節をひとめぐりします。その区切りの例会には2つの顔があります。ひとつは組織としての区切り、もうひとつは仲間同士の関係の区切りです。前者は、一年間の活動を締めくくり、新しい年度へのバトンタッチがなされる「臨時総会」であり、後者は、卒業してゆく仲間を惜別し、感謝を込めて送る「卒業式」です。この卒業式には「シニア」と呼ばれる青工会OBの方々(1月例会の記事もご覧ください)も多数列席され、その厳かな祝祭的雰囲気は特別なものがあります。そしてその後に「納会」が行われ、シニアと現役会員が交流を深めつつ一年の活動をにぎやかに締めくくる宴となります。315日(金)に常磐ホテルにて行われた3月例会は、充実したこの一年の青工会活動の締めくくりにふさわしい、高揚感に包まれた大フィナーレとなりました。

 

1.臨時総会

 柴田和則委員長率いる総務委員会の進行により1700にスタートした臨時総会では、第42代会長に就任した乾 亘会長から、次年度の構想と活動内容が説明され、予算案共々、全会一致で承認を得ました。これで正式に、新年度の活動開始を報せる号砲が鳴ったということになります。「一歩前へ 一歩上へ 大海原へ出よう ~やってみるじゃんけ 青年らしく!~」をスローガンに掲げた茂呂哲也・第41代会長から、「協存共栄 情熱・協同・繁栄 新たな扉を開こう!」を掲げる乾 亘・第42代会長へ。バトンは無事に手渡されました。

 

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2.卒業式

 続いては、本年度の最後の事業となる、小林智斉委員長率いる情報発信委員会が企画・運営する3月例会・卒業式です。山梨青年工業会は、45歳をもって会を卒業しなくてはならない規約となっています。心は万年青年でも、会は後進に託し、自らは卒業してゆかねばならない。その「期限つき」であることが、会員の活動に程良い緊張感と、「卒業までに悔いなく活動しよう」という情熱を育み、卒業してもシニアとして現役会員との強い絆で結ばれる要因のひとつとなっているのでしょう。

 

今年卒業されるのは、新藤 淳会員、秋山由里会員の二人。卒業生が二人のみと言うのは近年では少ない方なのですが、新藤会員は第35代会長、秋山会員は第39代会長(青工会初の女性会長)を務めるなど、会における存在感は、極めて大きなものがあり、会員の感慨も一入です。

 

 それは卒業する二人も同じだったのでしょう。時間が前後しますが、臨時総会の冒頭で、青工会の活動趣意書の唱和が行われました。これは例会の前に常に行われるセレモニーで、会員が持ち回りで唱和のリード役を務めるのですが、今回の担当は新藤会員。「最後の活動趣意書唱和」を、思いのたけをぶつけ、心からの叫びとして唱和する姿に、すべての会員の心が深く揺り動かされたことは間違いありません。

 

 とはいえ、いつも涙がつきものの卒業式を、あまりしんみりせず、明るく元気に行って欲しいというのが二人の希望。いざ例会が始まり、赤絨毯が引かれた中央の通路を入場してくる二人の表情は晴れやかです。

 

 前面にしつらえた特別席に二人が席を下ろすと、さあ、セレモニーの始まりです。情報発信委員会が、多くの会員の協力を得ながら、創意と工夫となにより情熱をもって取り組んできた演出の数々が、今、姿を現します。茂呂会長の深い感謝に満ちたあいさつに続き、ヴァーグナー《ニュルンベルクのマイスタージンガー》前奏曲に導かれて前面のスクリーンに映し出されるのは、画像で振り返るこれまでの二人の青工会活動。続いて茂呂会長から卒業証書・花束・目録が授与され、会員からの答辞、卒業生の送辞へと続きます。秋山会員には、三森勝仁会員。新藤会員へは、古守一康、原 誠、中島正裕会員の3人。それぞれの会員が、卒業生への感謝と思いを込めた送辞を読み上げ、卒業生はそれに応えます。さきほど思いのたけを趣意書唱和にぶつけた新藤会員は穏やかに(しかし心を込めて)後輩にエールを送っていましたが、今度は感極まった秋山会員がいったん送辞を断念し、新藤会員の送辞と答辞の後に仕切りなおすという感動的な一幕も。それぞれの思いが、偽りなき真情の言葉となって場を惜別と感謝の思いで包む、卒業式における感情のハイライトとなりました。

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 盛り上がりは続きます。今度は、さきほど目録で授与された記念品の贈呈。ただの記念品ではありません。情報発信委員会が、腕によりをかけた記念品です。まずオープニング・ヴィデオは、会員全員が、卒業生へのメッセージを書いた画用紙をもって思い思いのポーズを決める動画と画像。巧みな編集により気分を盛り上げた後には、いよいよドラムロール(本物です)と共に記念品の除幕。現れたのは、先ほど映し出された画像と、二人の活動を記録した写真を厖大に使って二人のポートレイトを描いた「フォトモザイク」でした。シニアも取り囲んでこの労作を鑑賞します。

 

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 皆が興奮に包まれているその気分のまま、卒業式はクライマックスへ向かいます。『上を向いて歩こう』の歌詞をお二人のエピソードや会長就任時のスローガンを織り込んだ内容に改作したトリビュート・ヴァージョンを、指パッチンやハンドクラッピングなどの「ボディサウンド」つき、ハーモニカあり口笛あり、ギター(田畑宏司会員)、ベース(久津間英人会員)、ドラムス(三森勝仁会員)、キーボード(功刀数也会員)による「青工会バンド」の伴奏、不肖私・矢澤孝樹の指揮で卒業生に歌い捧げます。何度も練習しただけあって呼吸はピッタリ、中盤には花火のプロフェッショナル・齊木啓介会員の仕掛けによるシャボン玉も飛び交い、最後は卒業生とのハイ・タッチと決めポーズで大団円。

 

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 熱狂的高揚の中、気持ちを鎮めるように『風林火山』のテーマが厳かに鳴り響き、新藤会員と秋山会員が感謝の言葉を述べながら、赤絨毯を歩いて退場してゆきます。通常は、会員達の形作るアーチの間を、いつ果てるともなく別れを惜しむ情景がくり広げられるのですが、今回は「しんみりしたくない」という二人のたっての希望で、このようなエンディングとなりました。小林智斉委員長、篠原幹雄副委員長、渡辺 郁副委員長、3人が全力を尽くして企画・準備し、情報発信委員会の知恵と努力を結集した3月例会は、会員全ての想いと協力によって開花し、会場の誰にとっても忘れ難いひと時となりました。

 

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3.納会

 しかし、これで終わりではありません。会場を移して、しめくくりの宴、納会です。ここでは前述の通りシニアとの語らいと共に、一年間の総決算となる宴が行われます。茂呂会長の会長としての最後のあいさつ。そして、シニア代表幹事である赤野玉明シニアによる、「青工会は本当によい会になった」というありがたいごあいさつ。古守直前会長の乾杯の温度と共に、卒業式を無事終えての解放感みなぎる楽しい宴が始まります。一年間活動してきた委員長の集まり「委員長会」は手のこんだアイディア満載の動画を披露。委員長達が次々と甲府の街を背広姿でリレーしてゆく動画に全員抱腹絶倒した後、会場に入ってきた「最終走者」はなんと茂呂会長の奥様とお子さん達。「最大の協力者はご家族」と紹介され、一年間の重責を終える茂呂会長は感無量。続いては、卒業生二人が披露する青工会会歌のロック・ヴァージョンで、作詞・作曲をされた立沢眞一シニアもいらっしゃる会場はまたまた大盛り上がり。さらに茂呂会長から、一年間スローガンに則って活動した会員を特別表彰するサプライズも。

 

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 興奮の連続の納会もいよいよ終幕、3月の会員誕生日を祝い、姿勢を正して幹事講評を聞き、最後に全員で会歌斉唱。ここで最後の高揚となり、全員で肩を組んで円陣となり熱唱。なんと矢澤は呼び出されてここでも指揮をすることに。最後に、丸山順一副会長が、今日の冒頭の新藤会員の趣意書熱唱に応える形で熱く閉会宣言を決め、5時間に及んだ一大イヴェントは幕を閉じたのでした。それでも宴の余韻は覚めやらず、二次会、三次会と、果てしなく会員やシニアの間で朝まで熱い語らいが続いていったことは、ここに記すまでもないでしょう。

 

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 会員の想いがひとつになって迎えた、青工会活動一年の大団円。それは、新年度という未来に向けての始まりの瞬間でもあります。新たな出会い、学び、気づきを求めて、私たちはまた、走り始めます。

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(文責:情報発信委員会 矢澤孝樹)
かつて、高度経済成長と呼ばれた時代は、日本人の開発した様々な製品が世界を席捲していました。
しかし現在、そのお株は他所の国に奪われ、「MADE IN JAPAN」の言葉を見る事も少なくなりました。
そこには様々な要因があるのでしょうが、確かな事は一つ。
「開発者の頭が固くなり、柔軟な発想が出来なくなってしまったからではないか?」という事です。

そんな現状に着目した久津間委員長率いる開発委員会の2月例会は、「開発脳を作ろう!」と題して、これまで一年間を通して行われてきた委員会活動の発表と併せて、そんな固くなってしまった頭をほぐし、柔軟な発想の出来る人になろう!という目的のもと、2月20日に甲府商工会議所201号室にて行われました。

久津間委員長の挨拶が終わり、照山会員の司会のもと部屋が暗転すると、正面のスクリーンに流れ出す映像。
それは開発委員会のこの一年間の軌跡とも呼べるものでした。
茂呂会長より委員長の打診を受け、悩みながらも会長と共に荒波へと帆を進めることを決めた委員長の姿。
様々なアイディアを出しては、あっさり却下されるも、めげずに新しいアイディアを出しては、またも却下される山寺副委員長の姿。
しかしながら、そんな姿に徐々に影響された委員会メンバー達からも、様々なアイディアが出され、実際に製作する段階にまで至ったものもあります。

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DSC00031.jpg映像が終わり、それら「作ってみた」品物の中には「これ、あったらいいかも」と思えるものから、「何でこんなものを?」と思わず首を傾げたくなるものまで、様々なものが紹介されました。
しかし、その一つ一つが開発委員会のメンバーが日常の中で思った「あったらいいな」という発想から生まれた物であることには違いありません。
そしていよいよ、摘果桃を使った「桃のワイン煮」について、開発に携わった佐久間会員による、経緯が説明されました。
完成の目標は昨年10月に行われた、山梨テクノICTメッセ。
様々な方法を繰り返し、試行錯誤を経て、ようやく納得のできる物ができた。
正に料理人の意地が勝った瞬間にも感じられます。

と、ここまで開発委員会が一年という時間の中でチャレンジしてきた内容が紹介されました。
とはいえ、開発のアイディアだけでは、ものになりません。
それには当然のように「資金」が必要になります。
しかし、手持ちの資金だけでは足りない場合、どうすればよいか?
その点について、青工会前事務局でもあり、現在は中小企業振興部経営支援課主事の鈴木重正様より、様々な助成金についての説明がありました。
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そしてここからは後半戦。
例会のメインテーマでもある、「開発脳の作り方」が始まります。
司会進行を中井会員にバトンタッチし、まずは簡単な問題を通してのウォーミングアップ。
しかし意外に難しく、ヒントを貰ってようやく答えが解るという人が続出。
如何に皆さんの頭が固くなっているかを象徴するような光景が広がっています。
ここでグループ替えを行い、書かれている図形から想像して行く問題に。
これまでのような固定化された答えなどなく、回答者の発想力が問われる内容に、グループ内でも様々な答えが出て盛り上がっている姿が方々に見えました。
更に最終問題では、司会の出すヒントを元に「宝の地図」を書き上げるという物。
これは、ヒントに対して、どれだけしっかりしたイメージを頭の中で描けるかが勝敗の分かれ目になります。
こちらもグループの特色が出ており、しっかりと書かれたものもあれば、「正に宝の地図」的なユニークなものまで、各々の人が持つ、発想の一端が見えるものでした。
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最後に久津間委員長が故スティーブ・ジョブズ氏の有名な一説を挙げていました。
「ハングリーであれ、愚か者であれ」
現状に満足することなく、貪欲に発想を続けた氏だからこそ、革新的とも取れる物を生み出すことが出来たのでしょう。

冒頭でも述べたように、「MADE IN JAPAN」は、既に過去のものとなりつつあります。
しかしこのまま低迷したままで良いのでしょうか?
開発者の固くなった頭が柔らかくなり、多くの柔軟な発想が生まれれば、また復権できるのではないでしょうか。
その嚆矢として、まずは「MADE IN 青工会」が世に出るのも良いかも知れない――
そんなことを感じた例会でした。




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